この10年~15年ぐらいで確実に定着した食材に、「生ハム」がある。
いまや、パルマだけじゃなく、ハモンセラーノとか輸入されるほどで、僕のような人間でも食しているほどだ。
当初は(いまだに?)、メロンと何であわせるのか?なんて疑問がよく言われていたけど、それも一定の理解が得られたのか最近は聞かなくなった。
いわゆる日本のロースハムだって、大好きで、人からいただいたハムを厚く切って焼いて食べるなんて至福なのだけれど、初めて生ハムを食べた時、目から鱗が落ちなかっただろうか。
そして、もっと喰らいたいと思わなかっただろうか。
自分は思った。
「なんで、こんな薄いねん!」とか、「薄いのはわかる。だけど、もっと食わしてくれ、腹いっぱい食べたい」と心の叫びがあったものだった。
だけど、生ハムを求めようとすると、それはそれはなかなかのお値段で、数枚しか入っていない現実があって、腹いっぱい食べる事は叶わない。
そんな思いがあって、社会人になって仕事が単調で、割と帰宅の時間が一定していたとき、寮で、生ハムを作ろうと思い立ったのだった。
そう、そのころは、横浜に住んでいて、愛用している「ニュークイック」が横浜の駅に入っているし、豚肉も大きな塊で安価に入手できることも手伝って、作ろうと思い立ったのだ。
まだまだ、ネットは黎明期でぐぐることもできなかった時だった。
いろいろと作り方を探しているうちに、冷燻で行うことなど、いろいろ断片的な情報は入るのだけれど、しっかり記載している本はなかった。(当時、アウトドアのブームもあって、温燻のことは結構記載があったのだけれど、冷燻はなかった)
そんな折、当時愛読していたモーニングの「クッキングパパ」によくまとまった「生ハムの作り方」がでているではないか!!
やるしかない!!!
(#ちなみに、敢えて生ハムの作り方ではなく、今ぐぐってみると、「クッキングパパ」のデータベースがしっかりありました。作成している方に感謝。生ハムは、第47巻、467話に掲載されているそうです)
そんなわけで、豚を購入し、ピックル液に漬け込み、毎日冷燻(温燻器を改造して、スモークチップを別のところで燻し煙だけあてるようなものを作って、さらに、簡易的なものなので、どうしても温度上昇するので、氷を置いて温度を下げて行う苦労をして)を、寮のベランダで行って、1ヵ月後に完成させました。
それはそれは、苦労した。毎日、残業を蹴散らし、早々に帰宅して一定の時刻にやるようにして苦労した。
そして、完成。
もう感動でした。生ハムの塊が目の前にあるのだもん。さすがによく写真で見るような豚のモモが丸々では無いけど。
単純に大盛の美学的なうれしさがこみ上げたものです。
そして、通常の生ハムとはおもえない厚さでスライスした喜びなんて、表現できませんでした。
殿様、大名、なんでもいいのですが、偉い贅沢している気分だったなぁ。
あとになって、厚く切ることは、自己満足でしかないことを理解しますが。
食感も、塩加減もお店で食べるようなものと遜色ない感じで出来上がったので、本当に感動したなぁ。
偶然だけれど、まさに塩梅がよかった。
作った生ハムをたっぷり入れたパスタはうまかったなぁ。
もっと気候が生ハム向きなところに移住して、生ハムをつくっちゃうハム工房を作ろうかなんて、想像したぐらいうまく出来た。
あの手間は尋常じゃないので、なかなか、再度挑戦しようとは思わないのだけれど、なぜだか、ふと思い出した次第。
しかし、作るには今思えばあの時期(5月末~6月末にかけての梅雨の時期)は不適だったのに、なんであれほどうまく成功したのか、今更ながら思う。
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