「コロッケがくる日」でほかほかと
小説の「となりのトトロ」をようやく読んでみた。間髪いれずに、映画を観直して見た。
トトロって、いい映画とは思うのだけれど、正直、懐古趣味的過ぎる印象が自分の中にあった。
最初に観たとき以来、通しで観ていなかったので、久しぶりに観直した。
1年に何回かTVで放映されるので、風景になっていた。
自分にとっては優しすぎるという映画に対する印象はそれほど変わらない。
ただ、この映画が永く愛される理由もわかる。
小説を読んで観ると、優しさに厚みが出た。
結構、映画はカット、省略しているのだ。それでいてなおかつ、人を魅了しているのだから、この映画を愛する人が小説を読んだら、もっと好きになるのではないだろうか。
そう思った一節に、「コロッケがくる日」というところがある。
映画には、明確に表現されていないけれど、雨の中、姉妹がバス停でお父さんを待つシーン(サツキがトトロに初めて会うシーン)は、都会にお父さんが仕事で一日家を空け、娘たちに、仕事場の近くのおいしいコロッケを買ってくることを約束していたので、楽しみにしている姉妹が迎えに行くというシーンなのだ。
だからこそ、余計にあの夜の暗さや待っている間の寂しさが引き立つシーン。
前日から、「コロッケがくる日」として、TODOリストを家の中に張り出して、特別な日だったのだ。家族の間では。
その他、お母さんの病状、サツキのお姉さんとしての気丈な態度、お父さんの仕事、もともと住んでいた東京の街中のおばさんのところに遊びに行くシーンや勘太が本家に行くのがあまり好きではないことなど、映画ではあまり触れられていないことが多数、小説にある。
小説版(原作:宮崎駿/文:久保つぎ子)の方が後にできたのだと思うけれど、もともとここまで十分に考えていたのだと思う。単なるノベライズではなく。
読んでみて、ストーリーがようやく一本通ったというのか、トトロ流に言えば、塚森の大クスのようにしっかり幹が通って、合点がいった。
映画が好きな人には、文庫の上、300Pもなく、非常に読みやすいので、お勧めします。
追記
ずいぶんエントリが遅くなってしまいましたが、chibiさん、ようやく読んでみました。楽しかったです。
| 固定リンク
コメント
そうでしたか。読んでいただけましたか。
なんだか嬉しいですね。紹介して読んでいただける人がいるなんて。
盲目的に、「トトロ好きや」なんて言っている人には、特に読んでもらいたいなぁと思いました。
ラピュタがお好きでしたら、是非、小説もお読みください。いいですよ。エンディングが違って。いまから、ちょっと観ようかな・・・
投稿: bard | 2005.07.30 00:36
ご無沙汰しています。
以前、こちらで紹介していただいて、BOOK-OFFに探しに行きました。
本を読んで映画を観ると、あらためて「そうだったのか~」と納得できるシーンがたくさんあって
映画が深く解釈できたような気分になってます^^;
宮崎ものは題材もスケールも壮大になりつつありますが、これを観る度なんだかホッとします。
投稿: ヤッコ | 2005.07.30 00:02
遅くなりました。
すぐコメントくださっているのに気がつきましたが、お返事書く時間がなくて・・・
厳しめってことはないと思います。
いつもうまく文章をまとめられて、感心してしまいます。
映画を見ている人にはほんと、おすすめですよね!
*本文に無関係ですがありがとうございます
投稿: chibi | 2005.01.22 23:21
トラックバックまでしてもらってありがとうございました!
遅くなってしまいましたが、本当、しんみりしました。エントリでは、よそゆきで少し厳しめに書いた感じがしているのですけれど(今読み返すと)…
文庫で安価ですし、映画自体が好きな人にはかなりお勧めできますね。
実はといわずいつも?是非、今後もよろしくです。
本文とは関係ないのですが、おめでとうございます!!
投稿: bard | 2005.01.17 22:31
待ってました!ありがとうございま~す♪
気に入ってもらえたようで、とってもうれしいです。
bardさんのとこにはツボな記事が多くて実はいつも寄らせてもらってます。
これからもいろんな記事を楽しみにしてます。
投稿: Chibi | 2005.01.17 11:12